温暖な気候と肥沃な土地、そして清流に恵まれた環境の中で、静岡温室マスクメロンは四季を通じて生産されています。春・夏・秋・冬と大きく異なる環境の中で、それぞれの季節の特徴を活かし、受け継がれた生産者たちの栽培技術によって大切に育てられています。
春作メロン(3〜6月)
春から初夏はメロン生産にとって生育に最も適した時期です。次第に伸びてくる日差しが、甘くておいしいメロンを育てます。種が採れやすく、メロンが自然と大きくなってくる季節です。
夏作メロン(6〜9月)
夏の強い日差しの中、帽子の被覆や、送風や冷房を適切に行うことによって、美味しさが崩れないように育てられています。夏作メロンは大きく育ちやすく、果肉がしっかりとしています。気温が高くても美味しさを保つことができるよう、日持ちするように作られていることも特徴です。
秋作メロン(9〜12月)
日照時間が短くなり、気温差が大きくなる秋作メロンは、葉面散布によって適切な養分を与え、きれいなネットが出るようきめ細かな管理をして育てられます。生産者の腕が表れる時期でもあり、品質管理の行き届いたメロンが作られます。
冬作メロン(12〜3月)
遠州地域は、冬場の日照時間の長さが国内トップクラスであり、こうした好条件を利用して安定したメロンが育てられます。暖房によって温室内が乾燥することで、よく水を吸い、果肉が緻密で凝縮したメロンが育ちます。冬作メロンは糖度が高いことも特徴です。
静岡マスクメロンができるまで
種まきから収穫までの約100日間、「ガラス温室」で栽培する静岡のメロン。一般の温室の多くはビニールハウス栽培ですが、静岡マスクメロンは太陽光線の透過率が高い「ガラス温室」で作られます。
発芽から出荷まで、四季を通じてメロン農家が日々管理する、一連のメロン栽培をご紹介いたします。
■育苗期(約20日間) ―おいしいメロンは元気な苗から―
1.厳選された種子
種は長年の中で蓄積された経験を元に独自に品種改良を重ねた、およそ20種類の品種から四季に合わせて選定します。適切な種の選定により、一年を通して安定した品質のマスクメロンを生産することができます。
2.接木
病気に強い種子と品質の高い種子を1粒ずつ植えます。2本の苗を接木することで、病気に強く品質の高いメロンになります。
■木づくり期(約25日間) ―大玉良品を生む木づくり―
3.蒸気消毒機
農薬を使わずに、蒸気の熱で土を消毒します。これは、環境にもメロンにも人にも優しい方法です。また、静岡マスクメロンは有機質肥料を中心にして育てられます。メロンの味と肉質は、肥料も大きな決め手となります。
4.定植
静岡マスクメロンは、地面から離れた「隔離ベッド」と呼ばれる限られた土量の栽培床で栽培されます。他産地では畑の中に直接植えられることが一般的ですが、こうしてメロンの根が張る土を地面と完全に隔離することにより、肥料と水の量を完璧にコントロールすることができます。
5.水やり
毎日2〜3回、木の根元に散水します。メロン栽培は水やりが命と言われ、水の量と与えるタイミングがメロンの味を左右するといって過言ではありません。熟練した生産者が経験を基に、収穫までの間一日も絶やすことなくきめ細やかな管理を行います。
■交配期(約5日間) ―手作業による交配―
6.交配
こちらがメロンの花。メロンの花が開花したら、手作業で交配します。
■肥大期(約10日間) ―1本の木に1個のメロン―
7.摘果
メロンの木一本につき3個残していた小メロンの中からひとつだけを選び、他の2つの実は落として(摘果)、残った実にすべての養分が集中するようにします。他産地のメロンは1本の木から複数個のメロンを収穫することが一般的ですが、静岡マスクメロンでは1本の木から選び育てた1個のメロンのみを収穫します。
(画像上が【摘果前】、画像下が【摘果後】)
■ネット期(約15日間) ―メロンのネットは果皮のひび―
8.ネットづくり
果実が大きくなろうとすると、果皮がひび割れます。そして、ひび割れた箇所を修復しようとしたものがネットになります。
静岡マスクメロン自慢の美しいネットは、適正な水と温度管理で生まれます。
■仕上げ期(約20日間) ―メロンをおいしくするひと手間―
9.玉ふき・日除け
玉をふいたり、日除けをしたりすることによって、メロンを美しく仕上げます。メロンをおいしくするために、この時期の水の加減がポイントです。
■収穫期 ―極上の逸品をお届け―
10.収穫・出荷
外観、内容、糖度等の品質チェックを経て、厳しい検査基準に合格したものだけが出荷されます。
播種→接木→定植→交配→摘果→玉つり→玉磨き→採果までおよそ100日間、メロン生産者は毎日1〜2回の潅水を欠かしません。また、季節、天候、昼夜によって温室内の【温度】と【湿度】が変化することから、ボイラーや冷房等による温度管理、そして窓の開閉による温湿度管理などを行い、メロンにとって最適な環境の整備を常に行っています。
メロン産地で受け継がれる生産者たちの卓越した栽培ノウハウと、一日一日のきめ細やかな管理によって、繊細な肉質と甘みを持つ高品質な静岡マスクメロンができあがるのです。